1.4.擬似立体視の種類(ソース編) : 【連載】独学で立体視論まとめてみた


前回のデバイス編に続いて、今回はソース編です。実際に形のあるハードウェアではなく、そこに映し出される映像ソースの話になります。記事に書いておいてなんですが、そんなに重要な項ではないので、読み飛ばし・斜め読み上等です。

3Dの映像フォーマット

巷にはブルーレイディスクやDVD、パソコンの動画ファイルなど、さまざまなフォーマットで動画が記録されています。これらはそれぞれ規格化されており、ルールに従って製品が作られています。そうでないと、あるBDはS社の機械でしか再生できず、あるDVDはT社の機械でしか再生できない、などということになりかねません。それは不便ですよね。

もちろん3Dコンテンツも統一された企画で記録・再生される必要があります。しかし3Dの場合、規格化された(というより商品が世に出回った)のが比較的最近のため、事情が複雑です。ざっくり言うと、新商品向けに公式に制定された商用の規格と、規格に対応していない機器での再生にも対応した汎用の規格があります。

※なお、実際の3D規格には保存規格と伝送規格があり、実際にはもっと複雑なのですが、当記事のスコープからは外れるためざっくりした説明にとどめたいと思います。

商用規格:フレームパッキング

右目用の映像と左目用の映像を同時に伝送する方式です。こう言うと非常に単純ですが、HDMIなどの映像伝送規格はもともとひとつの映像を送ることしか考えられていないため、伝送規格としてはかなり特殊なものです。このため、伝送元の機器や表示機器が規格に対応している必要があります。HDMI規格バージョン1.4以降で3D映像の伝送に対応しましたが、対応機器ではこの方式で伝送された3D映像の表示を保証しています。

2画面を伝送するので片目あたりの画質を落とすことなく表示できることが利点……なのですが、実際には機器やケーブルの性能により制限を受けることになります。現在は1280×720ドットもしくは30フレーム/秒の制限を受けている機器が多いようです。画質やFPSを落とさずに両目の映像を伝送しようと思うと通常の倍の性能が必要になるわけですから、この制限は致し方ないものといえるでしょう。

なんにせよ、この規格は商用機器に搭載された規格で、利用者はこの規格の内容について意識する必要がありません。すべて市販の機器やソフトを介して3D映像にアクセスすることになります。そのため、ここでは詳しくは説明しません。

汎用規格:サイドバイサイド

フレームパッキングは、映像の再生に必要な機器が全て対応していないと、全く3D再生ができない方式です。それに対して、サイドバイサイドは表示装置だけが対応していれば3D映像を見ることができる方式になります。

原理は非常に簡単です。普通の映像フォーマットを左右半分に割って、右目の映像と左目の映像をそれぞれに割り当てるだけです。本当にそれだけで、あとの伝送規格などは通常のものと一切替わりません。つまり、市販の動画ソフトなどでも簡単に作れてしまいますし、テレビやモニターがサイドバイサイドでの映像表示に対応していれば、DVDやブルーレイの再生装置は通常のものを使用できます。

映像を左右に分けるということは、解像度が半分になるということです。たとえば1920×1080の解像度でサイドバイサイド映像を作ると、片目あたりの解像度は960×1080となります。そこへ片目の映像を入れるので、ぱっと見の映像はギュッと圧縮されて縦長になったような映像になってしまいます。しかし、サイドバイサイドに対応した表示機器は、これを左右に分離して、更にそれを引き伸ばして表示するようになっているのです。

この説明でも分かるかもしれませんが、この方式での片目あたりの解像度は本来求められる解像度の半分になってしまいます。つまり、画質が劣化してしまうわけです。フレームパッキングでも解像度の制限がかかることがありますが、左右の解像度がいきなり半分になるというのは素人目にも分かる程度の影響があります。

しかし、フレームパッキングと違い、この方式は映像作成者が簡単に作ることができる利点があります。ビデオカメラを2台平行につなげた映像を編集すれば、あっという間に3D映像の完成です。プロユースではありませんが、インディーズ的な作品制作にはもってこいの方式といえるでしょう。

市販のブルーレイビデオ製品にはほとんど採用されていないと思いますが、過去にはDVDで多くの作品が発売されました。え?そんな製品見たことないって?それはあなたが健全な作品を多く見ているからかもしれません。巨乳系はイマイチ迫力がないのですが、液体が飛ぶ系のやつは迫力がありますね。

インディーズという考え方なら、同人ゲームなどで採用してみるのも面白いと思います。といっても、サイドバイサイドに対応したPCモニターって非常にレアなので、市場受けはイマイチだとは思いますが……。HDMI1.4aの3D映像に対応した機器はサイドバイサイドでの映像出力に対応していますので、3Dテレビでのプレイはできるかもしれません。それを遊ぶ人がいるのかどうかはともかくとして。

汎用規格:トップアンドボトム

サイドバイサイドが左右なら、トップアンドボトムは上下です。1920×1080の解像度なら、1920×540の映像2つに分割する方式になります。こちらは説明の必要はないでしょう。

ただし、こちらはサイドバイサイドより更に見かけません。ただでさえ16:9映像の縦の解像度は浅いのに、それを2つに分けるのは抵抗があるというところでしょうか。個人的にもサイドバイサイドをお勧めします。

方式の選び方

どの方式を使えばいいのか?ということを選択する場面はそんなにはないと思いますが、一応。

まず、市販のブルーレイビデオ製品を作るなら間違いなくフレームパッキングです。また、コンシューマゲームソフトもフレームパッキングが理想ですが、これはゲーム機の対応状況によるでしょう。

インディーズ・同人作品になると汎用規格が視野に入ります。基本的にはサイドバイサイドがあればいいと思います。動画編集ソフトによってはフレームパッキング方式でのブルーレイビデオを作成できるものがあるかもしれません。その場合はフレームパッキングを使用したほうがいいかもしれませんね。

あと、ブルーレイと異なり3Dの規格が存在しないDVDではフレームパッキングが使えません。この場合はサイドバイサイドを選択することになるでしょう。同人でゲームなどを作る場合には、それほど手間にもならないと思うので、サイドバイサイドとトップアンドボトムを両方用意しておいて選択できるようにすると親切だと思います。

また、いずれの方式も向かない媒体があります。それが動画アップロードサイトです。この場合は、アスペクト比を維持した映像を2つ並べて、裸眼立体視で見てもらうのが楽でしょうか。この場合も、交差法と平行法の動画を用意しておくと親切ですね。

筆者はプロではないので、たいていサイドバイサイドでLGの3Dモニタを使って立体映像を表示しています。あと、エッチなDVDの3Dは本当にすぐ飽きるので(だいたい持って40秒)、本気でおすすめできません。

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