1.2.擬似立体視 : 【連載】独学で立体視論まとめてみた
2015年7月12日(日) 技術(画像処理)
Photo by coniferconifer
擬似立体視
前項では、左右の目が捉える像が少しズレる「両眼視差」について見てきました。そのズレ方は、「左目では、遠くのものは左の方に、近くのものは右の方に見える」、「右目では、遠くのものは右の方に、近くのものは左の方に見える」でしたね。
逆に言えば、同じ距離にあるものについて左右の目はほとんど視差を生じません。そのため、どんなに奥行きのあるような構図でも、普通の平面的な写真やイラストを見ているだけでは遠近感や立体感を感じることはありません。フタの開いたマンホールの絵を描いたら怖かった、なんてことはおこらないわけです。なぜなら視差を生じず、立体感を感じないからですね。(コーンの画像:avaxhome.ws様)
人間が立体感を感じるのは「両眼視差」があるから。「両眼視差」がないと平面的に見えてしまう。であれば、「両眼視差」を強制的に作り出すことができれば、立体でない映像を見た時にも立体感を得ることができるのではないでしょうか。
ずばり、左目から見えているであろう映像を左目にだけ、右目から見えているであろう映像を右目にだけ見せることができれば、人間は視差を感じ、映像を立体的に見ることができそうです。
このように、左目と右目にそれぞれ別の映像を見せて実際には存在しない立体感を感じさせることを「擬似立体視」などと呼んだりします(※学術的に正確な言葉ではないかもしれません)。
しかし、左右の目に別々の映像を見せるとは言っても、どのようにすればいいのでしょうか。次節ではその具体的な方法を見ていきたいと思います。