あたらしい川原湯温泉に行ってきた
2016年8月21日(日) 旅行
川原湯温泉、と言われてもピンとくる人は少ないかもしれませんが、「八ッ場ダムに沈む温泉」と言うと「ああ!」となるのではないでしょうか。最近はあまりその名を聞かなくなりましたが、八ッ場ダムは予定通り工事が進んでおり、2020年に完成することになっています。そんなダム工事を避けて高台に移動した川原湯温泉に行ってきました。
すべてが新しくまだまだ作りかけの川原湯温泉
実は6年ほど前に旧川原湯温泉に行ったことがあるのですが、なんというか風情のあるというか年季が入っているというか、(公衆浴場は)かなりボロがきている温泉でした。写真は旧「王湯」ですがここはかなりマシな方で、「笹湯」「聖天様露天風呂」などは、ふらりとやって来た人間が入るのにちょっとした度胸が必要だったほどですw。当時は既に八ッ場ダム工事再開が決定していて、温泉街全体にどことなくしんみりした空気があったように記憶しています。
そして数年前に「川原湯温泉駅」が高台に移動し、それに伴い街全体がダム脇に新しく形成されつつあります。既に公衆浴場「王湯」や幾つかの旅館が営業をはじめており、旅行に行く分には特に問題なくなっています。ただ、周辺にはコンビニ一軒すらなく、食料を調達するのもなかなか大変(車があれば道の駅に行けます)。街自体の機能が回復するのはもう少し先の事になりそうです。
新しい公衆浴場「王湯」は決して大きな施設ではありませんが、中は非常に綺麗で使いやすくなりました。露天風呂もありますし、自動販売機と綺麗なトイレがある休憩所も利用できます。風情は幾分か失われてしまったかもしれませんが、女性にも利用しやすい施設になったと思います。近くに八ッ場ダムの資料館などもありますし、草津へ行く途中にでも寄ってみるといいんじゃないでしょうか。
川原湯温泉に架けられた2つの橋
さて、新しいダムと新しい街ということで、当然のごとく新しい橋が架けられました。2つともコンクリート製のエクストラドーズド橋で、かなり新しい形式が採用されています。ダム湖ができたらそうは見えなくなるかもしれませんが、現在はまだ水がないため、桁下高はかなりの高さとなっています。ミヨー橋とまではいきませんが、見に行くなら2020年までがいいかもしれませんね!
まず、こちらが川原湯温泉中心に近い「八ッ場大橋」。ダムの工事現場がよく見えます。橋を渡った先には展望台もあるようです(諸事情で行けませんでした)。その近くには蕎麦屋とうどん屋があるようなので、現時点での数少ない食事処として覚えておくといいかもしれません。
そしてそれよりやや上流、川原湯温泉駅から道の駅方面に向かう「不動大橋」。この写真では分かりませんが、橋桁部が鋼管トラスとPCの複合部材になっています(資料PDF)。エクストラドーズド橋が一般的になってきて、最近は剛性を保ったまま橋桁をいかに軽量化するかというフェーズになってきていますね。より現代らしさを感じます。
オマケ
ついでに近隣の橋も見てきました。いずれも土木学会田中賞を受賞している立派な橋です。
まずは川原湯温泉の次の駅「長野原草津口駅」近くにある「吾妻線第三吾妻川橋りょう橋」。架線柱と一体化している外ハネ部分がオシャレです。中央部の斜材と垂直部材は設計会社のサイトによると「吊材を少なくし、橋りょう全体のイメージをスッキリした印象となるようにした」とのことですが、自分の知識ではよく分かっていませんw(素人なもので……)。ケーブルよりメリットがあるのかな。
そしてもうひとつ、嬬恋村立嬬恋中学校の裏手にある運動公園との間にある「青春橋」です。橋の下側をケーブルで強化した張弦桁橋という珍しい構造です。自碇式(橋全体が両岸を引っ張らない)であるためアンカーが簡素化できる上、建設中は吊橋だったので支保工(要は建設中の支え)も要らないいいとこどりの工法だったようです(資料PDF)。凄い橋なんですが、大変アクセスしづらい上に、夏まっさかりで木が茂りすぎており、下側のケーブルが全く見えませんでした。みゅーん。
というわけで、かなり自分らしさのある楽しい旅行となりました。ダム湖ができたら(あるいはできる前に)また行きたいな。