ソニー WX500を3ヶ月近く触ってみての感想
2016年5月31日(火) 買い物
最近はスマホのカメラがどんどん高画質になってきていて、あまりコンパクトデジカメを使う機会も少なくなってきています。しかし、近年になって橋を見に行ったり電車に乗ったりするたびに、スマホでは写真が撮りづらいことに不満をおぼえるようになりました。スマホのカメラにはデジタルズームしかついていないので、望遠での撮影が良くないんですよね。そのせいで、画角的にちょうどいい距離まで近づけないときはすべて小さすぎる写真になっちゃうわけです。
そんなこともあって、望遠に強いDSC-WX500を買っちゃいました。このエントリでは、WX500を3ヶ月近く触ってみての感想を書いてみたいと思います。発売から1年近くたってるのに、遅いw。一言でいうと、コストパフォーマンスの高い、かなりオススメの望遠コンデジです。不満点もあるにはあるので、上位機種のHX90Vなら一部はカバーできていると思うので、そっちを買うのもアリかもしれません。
世界最小光学30倍ズームの小ささ
まず、一眼レフを買うつもりは全くなかった自分。だって一眼だとポケットに入らないじゃないですか。自分は決して写真撮影家ではないので、携帯性の高さは第一条件です。その点でWX500の小ささは十分に及第点です。カメラに詳しい人からすると小さすぎて安定しないというほど小さいらしいですね。気軽にジャケットのポケットに放り込めます(とはいえ持ち歩くときはケースなどに入れましょう)。
こいつの凄いところは、このサイズなのに背面パネルがチルトして自撮りが楽にできること。自撮りなんてしねえよという諸兄も多いと思いますが、自撮りだけじゃないんですよ。カメラ位置を下げて煽りの写真を撮りたい時(ローアングルするときは被写体の人に許可をとりましょうね)、背面パネルを中途半端にチルトすることで無理な姿勢をとらずに映り具合を確認できるんです。おお便利。
WX500はこの小ささなのに光学30倍(35mmフィルムで720mm相当)ズームという恐るべき性能を備えています。全開まで引き出すとこんな感じ。結構鼻が伸びますね。でも、一般的なカメラの720mmレンズと比べると、信じられないくらい小さいんだそうです。WX500は光学30倍ズームを持つカメラとしては発売日時点で世界最小とのこと。その能力については次章で。
最近はどこのカメラもそうですが、例に漏れず光学ズームの2倍まで(つまりWX500の場合は60倍)のズームを準標準機能としています(全画素超解像ズーム)。要するに質の良いデジタルズームで、実際それなりに綺麗な写真が撮れると思います。次章では超解像ズームまでの写真を載せています(機能的には最大解像度で120倍デジタルズームまでサポートしていますが、はっきり言って使い物にならないので省略。画質じゃなくて、ブレのせい)。
なお、上位機種のHX90Vはファインダーやコントロールリングを搭載しているためWX500より少しだけサイズが大きくなっています。
撮影写真の例
ここからは実際に写した写真を見ていきます。なお、写真には焦点距離ではなく実機での表示倍率でデータを載せています。EXIFから逆算した値を載せていますので、微妙にズレがあるかもしれませんがご了承ください。超解像ズーム以上の倍率を使うとEXIFから倍率が分からなくなるのが不便なんだよな。ほぼすべての写真は標準の4:3、18Mピクセルで撮って、1024×768まで落としています。お月様だけリモコンの設定間違えてちょっと比率変わっちゃった。
さて、まずは自分の部屋からです。これ、分かるでしょうか?同じ距離からの写真ですが、なんとパソコンの画面の画素が写っているのです(!)。人間の視力などは比較にならない望遠性能がよく分かると思います。
渋谷~。109のネオン管は指紋みたいでちょっと気持ち悪いですね。
池の中をズームすると、カメさんがいっぱい甲羅干ししてました。これくらいのズームで事足りることは多いですねw
ラゾーナ川崎で踊っていた人たち。運動会や発表会ではかなりの威力を発揮するものと思われます。
30/60倍ズームというのは一般的なコンデジの性能を遥かに凌駕しています。ぶっちゃけオーバースペックと言ってもいい。そんじょそこらの双眼鏡など全く相手になりません。100メートル離れた人の顔を余裕で撮影できます。使ってみると分かりますが、人間の注意力の完全に外側から狙うことができてしまいます。犯罪の匂いがする。
こちらは横浜のランドマークタワーから横浜スタジアムを写したものになります。1.5キロほど離れていますが、サードにスワローズのランナーがいるのがよく分かります。なお、バッターはこの後三振して残塁した模様です。もちろん肉眼では見えません。デジカメごしに見てました。
30倍の撮影では手ブレ補正もかなり限界になりますので、ブレずに写真を撮る事自体かなり難しいです。60倍ともなると手ブレ補正すら敵となり、機能的にサポートする限界の120倍デジタルズームだともはや制御不能です。使うなら三脚とリモコン必須になるでしょうね。リモコンはアプリを追加することでスマホから操作可能です。
適当に何点か。ちょっと遠くにあるものをサッと撮れるのはいいですよね。相手の注意を引かないので、動物を撮るのにも向いています。
三脚で月を撮ってみました。単体のコンパクトデジカメとしては驚きの性能ですが、とはいえコンデジとしての限界もよく分かる写真です。
ISOはカタログスペックで12800まで対応となっていますが、これは擬似的な数字で実際にはもっと少ないようです。画面が暗い時は自動的に数枚の写真をパシャシャシャと連写し、合成することでノイズを軽減しているようです。未来ですねえ。実際、ISO12800というのはあまり使い物になりませんが、1600~3200程度なら十分実用できる範囲だと思います。最上位機種のα7だとかと比べちゃダメ。
シャッターは30秒まで開けておけますのでこういった写真も撮れます。
絞り優先モードを搭載しているので、広角でもある程度ボカシをつけることもできます。まあ、これもRX100シリーズとは比べられませんけどねw
まとめ
いろんなところへ行っていろんなものを撮りましたが、ぶっちゃけ20倍以上はそうそう使いませんw。しかし、たまーにキラリと光る1枚が撮れることがあり、写真を撮るのが楽しくなるカメラだと思います。何より、携帯で撮れない画角の写真が撮れるというのは、今の時代によく合う一台だと思います。
望遠に特化していることもあり連写性能はそれほど高くないですし、背景のボカシも大したことはありませんが、腰からぶら下げているとワクワクするんですよね。望遠での撮影は構図が命なので、撮影ポイントを探さなきゃいけないんですが、なにげなく街を歩いていても「この距離……このカメラならいけるかも……?」と思わせてくれる、本当に楽しいアイテムです。
また、自分は基本ソリストなので基本的に風景や動物や電車を撮っていますが、被写体が家族や恋人になるとぐっと可能性が高まるカメラでもあります(想像)。運動会や発表会、遊園地やスキー場など、活躍の場は数多くあります(想像)。
比較的お手頃な価格で、お手軽なサイズを持ち歩き、手の届かないちょっと離れた風景を切り取るカメラです。コイツを腰からぶら下げて、いつもは行かないようなところへ出かけてみるのもいいんじゃないでしょうか?
オマケ:HX90Vという選択肢
HX90VはWX500の上位機種です。説明書が兼用だったりと、基本的な機能は類似していて、幾つかの装備や機能が追加されています。
その中でも最たるものが「有機ELファインダー」です。一般のデジカメ最大の弱点として、晴れた屋外での撮影は液晶画面が見づらくなってしまい、うまく写真が撮れないことがあります。そんなときには便利な装備ですね。実際、WX500を触っていて、ファインダーがあればなあと思う瞬間はかなりあります。ただ、店頭の製品を触った限りでは使うのが面倒くさい感じでもありました。
他にもデジタル水準器や設定可能なコントロールリング、EXIF用のGPSなど、HX90Vにしかない機能は結構あります。その分少し大きく、重たくはなっていますが、それが故にむしろ撮影しやすいという声も見たことがあります。WX500とは1万円以上の価格差があるので悩みどころですが、ファインダーに魅力を感じるのなら選ぶ価値はありそうですね。
ふぉとぐらふぁさんちゃん [2016年11月26日(土) 11:20]
レビュー、とても参考になりました。m(__)m
より良い「音のしないカメラ」(怪しい用途じゃないですw)を探し、RX100(初代)とこのWX500で迷ってました。(^-^;
やはり「望遠強し」が最大の魅力ですね。
RAWが撮れないのが最大の欠点ですが…(10年後に見るjpeg画像のグダグダさが心配。)